要約
dYdX(DYDX)は、短期的な成長のきっかけと長期的な課題の両方を抱えています。
- Telegramトレーディング開始(強気材料) – 2025年9月に月額300万ドルの報酬プログラムと新規ユーザー向けアクセスを開始予定。
- 800万ドルのエコシステム助成金(影響は混在) – インフラ整備に12~18ヶ月の期間を設けるが、投資回収は遅れる可能性あり。
- 中央集権型取引所(CEX)との競争激化(弱気材料) – GMXやHyperliquidなどの分散型取引所(DEX)競合がdYdXの市場シェアを奪いつつある。
詳細分析
1. Telegramトレーディングと機能アップグレード(強気材料)
概要:
dYdXは2025年9月にTelegramを使ったトレーディング機能を開始予定です。これにより、メッセージアプリから直接パーペチュアル(永久)先物市場にアクセスできるようになります。月額300万ドルの報酬プログラム、ソーシャルログイン、USDTやSolanaの入金チャネルも導入し、初心者の参入障壁を下げ、小口トレーダーの獲得を目指します。
意味するところ:
Telegramのユーザー数は9億人以上と非常に多く、うまく運用できれば大きなユーザー獲得が期待できます。報酬プログラム(年間約3600万ドル相当)は一時的に取引量やステーキング需要を押し上げる可能性があります。ただし、過去の類似施策(例:Uniswapの「wallet-as-a-service」)ではユーザーの定着率にばらつきが見られました。
2. 800万ドルの助成金プログラムによるエコシステム成長(影響は混在)
概要:
dYdX財団は、財務資産から800万ドル相当のDYDXトークンを確保し、12~18ヶ月かけてインフラや開発者向けツール、研究開発に投資します。具体的には、清算アラートの強化やクロスチェーン連携の拡充などが含まれます(dYdX Foundation)。
意味するところ:
助成金はプロトコルの長期的な利便性向上に寄与する可能性がありますが、流通供給量が7億8200万トークンと多いため、希薄化リスクも伴います。過去の助成金プログラム(2023年の400万ドル開発者基金など)では、即時の価格上昇効果は限定的で、2025年第2四半期のDYDX価格は競合のGMX(+18%)に対し-7%と低調でした。
3. DEXパーペチュアル市場での競争激化(弱気材料)
概要:
GMX(Arbitrum)やHyperliquidといった分散型パーペチュアル取引所は、月間500億ドル以上の取引量を誇り、前年比で倍増しています。一方、dYdXのCosmosベースのチェーンは1日あたり約2億ドルの取引量ですが、GMXのSolana統合やHyperliquidの予測市場機能により競争圧力が高まっています(Bitrue)。
意味するところ:
dYdXの30日間の手数料収入(1200万ドル相当)は、GMXの230億ドルの流動性プールに比べて見劣りします。Telegram連携の成功など差別化がなければ、市場シェアの減少が手数料収入(USDCで支払われるステーキング報酬)やトークン需要に悪影響を及ぼす可能性があります。
結論
DYDXの価格は、Telegramトレーディングの実行力と激しいDEX競争の中でのユーザー維持にかかっています。800万ドルの助成金プログラムはエコシステムの強化に寄与するものの、効果が現れるまで6~12ヶ月の時間が必要です。2025年9月のTelegramローンチの利用状況に注目しましょう。1日あたり5億ドル以上の取引量が継続すれば強気シナリオが裏付けられ、2億ドル未満の場合は売り圧力が強まる可能性があります。