詳細解説
1. ERC20の廃止と供給ショック(影響は賛否両論)
概要: MANTRAは2026年1月15日までにERC20トークンのOMを廃止し、全ての流動性をネイティブチェーンに移行する計画です。すでに2億5,000万OM(供給の28%)がブリッジされており、未請求のトークンはエコシステム開発に再利用されます。現在の供給量17.8億OMは上限25億OMに変更されます(提案はこちら)。
意味するところ: 流動性の統合によりクロスチェーンの裁定取引リスクは減りますが、ERC20ホルダーが移行に抵抗すると売り圧力が強まる可能性があります。過去の例ではPolygonのMATIC移行時に期限前後で19%の価格変動が見られました。
2. 実物資産の導入パイプライン(強気材料)
概要: MANTRAのEVM互換メインネット(2025年9月開始)では、以下のようなトークン化資産が扱われています。
- WIN Investmentsを通じた7.4百万ドル相当のFIFA選手移籍権
- メキシコの森林炭素クレジット(100万クレジット/10年分)
- 4,500万ドル規模の機関投資家による買い戻し支援(MANTRA Finance)
意味するところ: 実物資産1億ドルのトークン化ごとに、OM価格は0.015%の手数料モデルから約0.15ドルの上昇が見込まれます。競合のChainlink(LINK)はOMの8倍のP/S比率で取引されており、評価の見直し余地があります。
3. 価格暴落後の信頼回復(弱気リスク)
概要: OMは2025年2月の最高値8.99ドルから93%下落し、4月の暴落でさらに90%下落しました。Lookonchainの調査では、暴落前に4,360万OMがBinanceやOKXに移動しましたが、チームは関与を否定しています(Blynex Academy)。
意味するところ: 信頼指標は依然として低く、4月の取引量のうち23%しか回復していません。OMの90日間のビットコインとの相関は暴落前の0.71から0.41に低下し、資産固有のリスクが残っています。
結論
OMの今後は、実物資産のロードマップを着実に実行しつつ、移行に伴う価格変動を管理できるかにかかっています。2026年1月のERC20トークン廃止と第4四半期の機関向け製品リリースが重要な転換点となるでしょう。8%のステーキング利回りが年間-82%のROIをどこまで補えるか注目です。ERC20ブリッジの閉鎖速度や、現在2,400万ドルのMANTRA ChainのTVL(業界平均は1億1,900万ドル)にも注目してください。