NEM（XEM）とは

詳細解説

1. コンセンサスとネットワーク参加

NEMは Proof-of-Importance（PoI） という仕組みを採用しています。これは、単に保有量や計算力だけでなく、取引履歴やXEMの保有状況に基づいて報酬を与える方法です。これにより、頻繁に取引を行うなど積極的にネットワークに参加するユーザーが優遇され、単なる資産の蓄積よりも公平な環境を目指しています。PoIはProof-of-Workと比べて消費電力が少なく、さらにEigentrust++というアルゴリズムで悪意あるノードを排除し、セキュリティを高めています（NEM Tech Reference参照）。

2. 企業向け機能

NEMの主な特徴は以下の通りです。
- モザイク（Mosaics）：ユーザーが自由に定義できるトークンで、ポイントや不動産などの資産を表現できます。供給量や手数料などの設定も可能です。
- ネームスペース（Namespaces）：資産やサービスを整理・ブランド化するための名前空間（例：「company:asset」）を提供します。
- マルチシグアカウント（Multi-signature Accounts）：複数人で取引の承認を行う仕組みで、企業のガバナンスに適しています。
また、プライベート向けには Mijin という許可制のブロックチェーンを提供し、100件以上の取引を毎秒処理できる高い処理能力を持つ閉じた環境を構築可能です。

3. アーキテクチャと柔軟性

NEMはJavaで開発されており、Node Infrastructure Server（NIS）により安定性と相互運用性を重視しています。スマートコントラクトはチューリング完全ではないため、Ethereumに比べて複雑なプログラムは制限されますが、その分セキュリティリスクが低減されています。2021年のHarlockアップグレードではメディアコンテンツや決済機能のサポートが拡充されましたが、2023年以降は開発の勢いがやや鈍化しています（CoinMarketCap参照）。

結論

NEMは省エネ型のコンセンサスと資産トークン化、ハイブリッドなブロックチェーン展開を組み合わせ、カスタマイズ性を求める企業に適したプラットフォームです。Javaベースの堅牢な設計を持つ一方で、より新しいスマートコントラクトプラットフォームと競争するために、開発者の関心を再び引きつけられるかが今後の課題と言えるでしょう。