詳細解説
1. メインネット Phase 0 アップグレード(2025年7月31日)
概要:
信頼できる実行環境(TEE)内で暗号化されたAIモデル(例:Llama)を動かせるようになりました。これにより、開発者は機密データを平文で見せることなく処理できます。
また、暗号化されたデータを保存・検索できる分散型ノードクラスタが導入されました。ノード運営者は暗号化されたデータの中身を直接見ることができません。この仕組みは、特に医療や分散型金融(DeFi)などの分野で重要なプライバシー問題を解決します。
意味するところ:
Nillionにとっては大きな追い風です。企業がAIを導入する際のプライバシーレイヤーとしてネットワークの価値が高まります。ユーザーデータが処理中も暗号化されたまま保持されるため、規制の厳しい業界での利用が期待されます。
(出典)
2. SDK v0.2.1の強化(2025年5月)
概要:
ビット単位の演算(左シフト・右シフト)を含む暗号技術が拡充され、暗号化データの保存容量が10倍(1MBの秘密データ)に増加しました。
また、整数の確率的切り捨て(trunc_pr
)機能が追加され、機械学習の計算効率が向上。暗号化された値同士を復号せずに比較できるプライベートイコール機能も導入され、プライバシー保護型AIの計算負荷が軽減されました。
意味するところ:
Nillionにとっては好材料です。複雑なプライバシーアプリの開発がしやすくなり、医療画像やゲノムデータなど、これまでサイズ制限で難しかった用途への対応が可能になります。
(出典)
3. Curl研究の進展(2025年8月12日)
概要:
Meta社とカリフォルニア大学と共同で、プライベートな大規模言語モデル(LLM)推論を高速化するフレームワーク「Curl」を発表しました。
Curlはマルチパーティ計算(MPC)とゼロ知識証明を組み合わせ、暗号化されたAI処理の遅延を減らします。まだメインネットには実装されていませんが、Nillionが最先端のプライバシー技術に注力していることを示しています。
意味するところ:
現時点では中立的な評価ですが、技術的な信頼性を示す重要な一歩です。将来的に成功すれば、NillionはプライベートAIインフラのリーダーになる可能性があります。
(出典)
結論
Nillionはメインネットのアップグレード、開発者ツールの充実、学術研究との連携を通じて、暗号化されたAI/Web3アプリケーションの基盤を着実に構築しています。Phase 0の展開やSDKの改善は企業導入の近い将来の手応えを示し、Curlは長期的な技術リーダーシップの土台となります。
今後、Nillionは量子耐性のある暗号技術と、実際のAIアプリケーションに必要な計算性能のバランスをどう取っていくのかが注目されます。