詳細分析
1. 規制遵守とアクセス(影響は混在)
概要: USDYはSECの規制不透明性を避けるため、米国市場からは距離を置いていますが、2025年7月にSEC登録済みのブローカーディーラーであるOasis Proを買収し、トークン化証券の取り扱いを強化しました。また、Alchemy Payを通じて173か国で利用可能となり、個人投資家の利用が広がっています(Alchemy Pay統合について)。
意味するところ: 実物資産に関する規制が明確になれば、USDYの利用範囲は拡大する可能性があります。一方で、利回りを生むトークンに対する規制強化は、約6.94億ドルの時価総額に圧力をかけるかもしれません。Oasisの買収は規制リスクのヘッジにはなりますが、完全に排除するものではありません。
2. 実物資産市場の成長(強気材料)
概要: 2025年にはトークン化された米国債の市場規模が240億ドルに達し、USDYはSei Networkの報告によるとアクティブユーザーの85%を占めています(Sei Networkの情報)。OndoはPanteraと共同で2.5億ドルのCatalystファンドを設立し、RWAのインフラ整備を進めています。さらに、Ethereum、Solana、Seiといった複数のブロックチェーンへの対応で、相互運用性が強化されています。
意味するところ: 高成長分野での優位性により、USDYは機関投資家によるDeFi(分散型金融)採用の恩恵を受けやすい立場にあります。新たなブロックチェーンの統合(7月のSeiローンチなど)は流動性の拡大を促しますが、BlackRockのBUIDLやFranklin Templetonといった大手の競合も存在します。
3. 利回りの動向と米国債利回り(弱気リスク)
概要: USDYの4.2%のAPYは、2025年9月時点の短期米国債利回り5.3%を下回っています。利率は毎月手動で調整されるため、連邦準備制度の利上げ局面ではアルゴリズムで調整されるステーブルコインに比べて不利です。担保率は114.5%(9月16日時点)と安全性は高いものの、価値は米国債のパフォーマンスに連動しています(Ondo Finance)。
意味するところ: 伝統的な利回りが低下すればUSDYの魅力は増しますが、利回りが上昇してもAPYが追随しなければ、より高利回りの選択肢に資金が流出する可能性があります。また、新規発行分に対する40日間の移転ロックがあり、即時換金可能な競合と比べて流動性の面で制約があります。
結論
USDYの価格動向は、利回り競争力を維持しつつ規制環境の変化を乗り越えられるかにかかっています。金融アプリに最適化されたSeiなどのチェーンへの拡大やDeFi統合の深化が進めば、現在の1.11ドルから1.15ドルの抵抗線突破も期待できます。しかし、担保率が110%を下回る持続的な低下や、実物資産に対するSECの規制強化は安定性を試す要因となるでしょう。
9月の米国債利回り曲線の逆転は、保有者を維持するためのAPY調整を促すのでしょうか?