詳細解説
1. Polkadot Capital Groupによる機関投資家の取り込み(強気材料)
概要:
Polkadotは2025年8月19日にPolkadot Capital Groupを立ち上げ、伝統的な金融市場と自社のエコシステムをつなぐ役割を担います。この部門は、実世界資産(RWA)のトークン化、機関向けのステーキングサービス、DeFiソリューションに注力しています。NASDAQ上場企業や資産運用会社と提携し、DOTをコンプライアンスに適合した機関投資家向けの暗号資産の基盤に位置づけることを目指しています。
意味するところ:
機関投資家の需要増加は、DOTのステーキングや担保資産としての利用価値を高める可能性があります。2030年までにRWAのトークン化市場が10兆ドルに成長すると予想されており、Polkadotの相互運用性の強みが資金流入を促すでしょう。ただし、企業向け採用ではEthereumやSolanaとの競争が依然として課題です。
2. JAMプロトコルとElastic Scalingアップグレード(中立~やや強気)
概要:
2025年末に予定されているJoin-Accumulate Machine(JAM)アップグレードは、PolkadotのRelay Chainを1秒間に100万以上のトランザクション処理(TPS)を可能にするモジュラーシステムに置き換えます。2025年5月から稼働しているElastic Scaling機能と組み合わせることで、パラチェーンはDOTで支払う形で追加の計算リソース(コア)を動的にレンタル可能になります。
意味するところ:
JAMのガス不要モデルやEthereumとの完全互換性(フルEVM統合)は開発者の関心を引きつける一方で、移行時の技術的な問題リスクもあります。Elastic Scalingの従量課金モデルはDOTのバーン(焼却)量を増やす可能性がありますが、現時点で利用されているコアは全体の12%にとどまっており、パラチェーン側の広範な採用が必要です。
3. 規制上の課題とETF承認の遅れ(弱気材料)
概要:
SECは21Sharesの現物DOT ETFの承認判断を市場監視の懸念から2025年11月8日まで延期しました。これは、類似のSolanaやCardanoのETFが却下された流れを受けたものです。
意味するところ:
Bloombergのアナリストによると、承認確率は40~50%と見られています。却下されれば、DOTの流動性不足が長引く可能性があります。現在、供給量の55%がステーキングされており、年利9%のリターンを生んでいます。また、500,000 DOTをビットコイン準備金に変換する提案(Referendum #1394)は、内部的に弱気な見方があることを示唆しています。
結論
Polkadotの価格は、Capital Groupによる機関投資家の取り込み、JAMアップグレードの円滑な実施、そして規制面の明確化に大きく左右されます。短期的には、3.56ドルのフィボナッチサポートと4.17ドルのレジスタンスが重要なポイントです。トレーダーはOpenGovの提案結果やSECの11月のETF判断を注視すべきでしょう。DOTは2025年の3.18ドル~4.60ドルのレンジを突破し上昇するのか、それともアルトコイン全体の疲弊感の中で再び下落するのか、今後の動向が注目されます。