詳細分析
1. 規制準拠とグローバル展開(強気材料)
概要: RLUSDは「規制優先」のステーブルコインとして位置づけられており、米国のGENIUS Act(1対1の準備金保有と監査義務)やドバイのDFSA規制に完全準拠しています。Rippleは連邦銀行チャーターや連邦準備制度のマスターアカウント(Standard Custody経由)を申請しており、準備金の透明性を高めようとしています。
意味するところ: 規制の明確化は存在リスクを減らし、BNY Mellon(カストディパートナー)やBlackRock(Securitizeのトークン化を通じて)などの機関投資家を引きつけます。これにより、RLUSDの時価総額は2026年までに10億ドルを超える可能性がありますが、OCC(通貨監督庁)の承認が進展の鍵となります。
2. EthereumのDeFi依存とXRPLの普及(影響は混在)
概要: RLUSDの供給量の88%(約6.98億ドル)がEthereum上にあり、その多くはAave(3.3億ドル)やCurveの流動性プールに集中しています。一方で、保有者の85%(約3.1万ウォレット)はXRPL上にあり、平均保有額は2,886ドルで、低コストの決済手段として個人や企業に利用されています。
意味するところ: Ethereumへの依存が高いため、DeFiの変動性(例えば貸出プロトコルの破綻リスク)に影響を受けやすいです。しかし、XRPLはアフリカ(Yellow Card経由)やドバイのDIFC(約7,000社)での成長が見込まれており、需要の多様化と安定した利用が期待されます。
3. ステーブルコインの競争と利回りの代替手段(弱気リスク)
概要: RLUSDはステーブルコイン市場で8位(7.89億ドル)に位置し、USDT(1,550億ドル)やUSDC(640億ドル)が市場を支配しています。EthenaのUSDe(95億ドル)は10%以上の利回りを提供し、PayPalやCoinbaseはGENIUS Actの利回り禁止を「リワード」方式で回避しています。
意味するところ: RLUSDは利回りを提供していないため、個人投資家には他の競合に比べて魅力が劣る可能性があります。成功の鍵は、機関向けのトークン化された国債やXRP ETFとの連携など、DeFiの逆風を補う仕組みにかかっています。
結論
RLUSDの価格安定性は、規制の信頼性と実際の利用価値のバランスにかかっています。機関投資家向けのトークン化やCBDC(中央銀行デジタル通貨)との連携は期待できますが、EthereumのDeFiリスクや利回り競争の激化は課題です。RippleのOCCチャーター申請の結果(2026年第1四半期予定)やXRPLの決済ボリュームの成長を注視しましょう。ステーブルコイン戦争において、規制準拠が利回り競争に勝るのかが見どころです。