Venus（XVS）とは

詳細解説

1. 目的と価値提案

Venusは、ユーザーが暗号資産を担保として預けることで資産を借りたり、VAIという米ドルに連動した合成ステーブルコインを発行したりできる仕組みを提供しています。担保比率は最低200％に設定されており、リスク管理と競争力のある金利のバランスを目指しています。BNB Chain上でのみ動作するため、Ethereumベースのサービスよりも取引速度が速く、手数料も低く抑えられています。

2. トークノミクスとガバナンス

XVSトークンは、担保の種類や金利、収益の配分などプロトコルの重要な設定を決める投票権を持っています。例えば、2025年6月の提案では「BNB Afterburn Tokenomics」が導入され、プロトコル収益の25％をBNBとして四半期ごとにバーン（焼却）する仕組みが採用されました（Venus Governance）。XVSの総供給量は3,000万枚に制限されており、2025年8月時点で約54％（1,630万枚）が市場に流通しています。

3. エコシステムとの連携

BNB Chain上で2番目に大きな貸借プロトコルとして、VenusはPancakeSwapやLista DAOなどのプラットフォームと連携しています。2025年7月の「Venus Port」アップデートにより、他のプロトコルからの流動性ポジションの移行が簡単になり、ユーザーの利便性が向上しました。ただし、2025年6月には約200万ドル相当のvTokenに関するセキュリティ警告が発表され（GoPlus）、DeFiの脆弱性が改めて注目されましたが、プロトコル自体への直接的な攻撃は確認されていません。

結論

Venusは、BNB Chainの高速かつ低コストな環境を活かし、分散型の貸借、ステーブルコイン発行、コミュニティガバナンスを組み合わせたプロトコルです。BNBの収益バーンや他プロトコルとの連携強化によりエコシステムの結びつきを深めていますが、今後のDeFiセキュリティ基準の変化が、信頼に基づく担保モデルにどのような影響を与えるかが注目されます。